学会準備、データからの声

春の野原のモカ



私の場合は、今年度は心理臨床学会ではないですが、とある研究を学会発表する予定です。


調査研究をしていると、そのテーマに沿って、じっくりじっくりデータをコツコツと打ち込んで、味わってながめます。すると、いろいろなことがそのデータから語られてきます。


さらに素晴らしいことは、その知見によって、日常の臨床の事例に対して、「構え方」あるいは受け止め方に深みが出るように感じられるのです。


それが自分の研究の方向性に合うようなバイアスになってしまうとよくないのですが、そうではなくて、ひとつひとつのデータの具現化した姿として、深く語る声として、事例の姿がより多くの人に通じ、多くの人を援助するために役立つメッセージを持ったものとして浮かび上がるように思うのです。


ひとりひとりの援助をしながらも、より多くの人に役立つための声と知見を掬い取るために調査研究というのは、すべての臨床心理士が行うべき義務であるといわれますし、実際に研究をしているとやはり強くそう思えてきます。


しかし、エビデンスとしてしっかりとつかむための調査研究は、被験者の負担になるようなものになりやすく、そこのところがジレンマです。いろいろやっていきたい研究はあるのですが、被験者にとってそのときに有益な方法で、あるいはせめて負担にならない方法での研究デザインを考えると、なかなかスムーズになんでも仮説をそのまま検証するわけに行かなかったりします。


なんだかアバウトな書き方しかできないのですが、倫理的にも優れ、被験者にとっても有益であり、目の前のクライエントにとっても役立つものであり、さらに将来的にすべての人々にとってよい援助の目安となるような、そんな調査研究をコツコツとできたらいいなあと願います。