少女が自殺した『13の理由』


13の理由

13の理由


すごい!!


このすごさは少し告白に似ているかも。


あなたがだれかの人生の一部分に関わったとき、
あなたはその人の人生のすべてに関わっているのです。


という作中の少女の言葉がすべてをあらわしている。少女は自殺して、彼女が生前に録音した7本のカセットテープが、自殺の理由に関係する13人に順番にまわされる。


その理由はいじめというほどはっきりしたものでもないし、それ1つだけでは彼女は死ななかっただろう。けれど、そのすべてが重なっていくことで、そのすべての出来事の中で誰も彼女を止められなかったことで、こうなった。パズルのピースが1つ1つはまっていくように。


少女のことをとても好きだった少年がそのカセットテープを聴きながら、少女の足取りをたどる。その過程はスリリングでもある。一級のサスペンスでありながら、人と人とのつながりの大きな意味を読者に感じさせてくれる小説である。


すごい。


すべての人に薦めたいし、臨床心理士(とくにスクールカウンセラー)は絶対に読んでおくべきだと思う。思春期のささやかな地獄の連なりが、こうして子どもを死に導くということを私たちはもっと知らなくてはならない。子どもにとってのささやかな小さな地獄に、もっともっと気づいてあげなくてはならない。


臨床心理士じゃなくても、隣の誰かがさえない表情をしていたら、勇気を出して声をかけてみる…そういうふうに人を変える力を持ったすごい小説だ。