「サウスバウンド」 家族と、それから生きる力

冷たいよな。ため息が出た。教師が、やけに人間臭く思えた。人間が親切なのは、自分が安全なときだけだ。           −『サウスバウンド』p265 −

「おまえはおとうさんを見習わなくていい。おまえの考えで生きていけばいい。お父さんの中にはな、自分でもどうしようもない腹の虫がいるんだ。それに従わないと、自分が自分じゃなくなる。要するに馬鹿なんだ」   −『サウスバウンド』p485 −

サウス・バウンド

サウス・バウンド

すばらしかった。
そして面白かった。
一気に読んだ。止まらなかった。


主人公の次郎(小6)がぐんぐん生きる力をつけていく。
はっきりと強い生きる力を持った父親を見つめていく。
それから、家族がどんどん美しくなっていく。
南に向かう前も、後も。


石垣島に一度行ったことがある。
あの島もとても不思議な自由さと時間があるところだった。
美しい海と砂浜と空があって、サトウキビ畑と牛がいて。
なんだか力があって、海とか空気から大きなものを受け取ってその一員にしてもらえるような、そんな場所だった。
それ以来海がすごく好きになった。


『サウスバウンド』にであえて読むことができてとても幸せだった。