失敗から学ぶ
カウンセリングは華やかな仕事でもなく、脚光をあびる仕事でもない。
地味で、コツコツとした努力と積み重ねが必要で、苦しくも険しい作業だ。
それでも、山登りのように、あるいは遠泳のように、
苦しいだけではない何かがある。
それをクライエントとともにめざして、こつこつと歩き続ける。
1対1の空間の中でだけ、ドラマがあり、激しい真剣勝負があり、
胸をかきむしる葛藤があり、
その自分の心に真から向き合って生まれるすばらしい瞬間がある。
クライエントが前に向かってぐっと顔を上げる、
その人間の持つ本当に力強い生きる力の立ち上がりに
つき合わせてもらえる、というのがこの仕事の一番の醍醐味であると
私は思っている。
そのために、つき合わせていただくこちらも、
クライエントに恥ずかしくないように
誇りと専門性と自信と技術を日々研鑽して高めていかなくてはならない。
それは厳しくもまた、誇りある専門技術をもった(もちたい、高め続けたいと願う)職人としての責任である。
もちろん失敗もある。
一言一言、一瞬一瞬、迷う。
分からないし自信もない。
なぜなら、目の前にある人は、他の誰にも似ていないただ一人の人であるからだ。
そして、今そこにある瞬間は、他のどの瞬間にも似ていないただ一度の瞬間であるからだ。
だからこそ、日々、もっと技術を高めたい、専門性を高めたいと願う。
それはプロのスポーツの選手が日々トレーニングをするのと同じである。
ラーメンを作る道も、芸術家も、外科医も、専門家は皆等しく
自分の技術と精神性と専門性を高める努力を行っている。
心理臨床の道も同じなのだ。
夏休みは特に学校関係の仕事が休みになるので勉強しやすい。
それに、なぜか、昔からの習慣づけなのか、暑くなると勉強したくなる。
夏休みに宿題はつきもの・・・そんな6+3+3+4+2・・・え!18年?
学校生活に慣れるって恐ろしい・・・。
勉強とは習慣だなあとつくづく思う。
話がそれたけれど、最近「臨床心理士デスマのつぶやきBlog」を見させていただいて、『ころんで学ぶ心理療法』を教えていただきました。初心者から中堅、そしてベテランにいたるまで、思い当たりことの多いテーマを逃げずに体当たりで、分かりやすい文章で書いてくださっているとても良い本です!この夏、復習と反省と見直しのためにゆっくりじっくり読みたいと思っています。
この失敗から学ぶというテーマがとても好きです。(というか大切だと思っていて)
大学院で『ありがちな心理療法の失敗例』をテキストとして使って以来、この学習スタイルこそ避けていてはいけないものだと痛感しています。
「失敗ではないか・・・」と落ち込んでしまうケースにこそ、成長のヒントがあり、自分を向き合う大事なポイントがあるのです。自分では無意識にわかっているけれど、なかなか認めたくなくて見えない、そういうポイントが「失敗!?」と悩むケースにはつまっています。そしてそのポイントを自覚して、向き合って、越えることができたら、専門性のレベルが一つあがる(ちゃららちゃっちゃっちゃ〜♪)、そんな気がします。
臨床心理士という資格を持って働く心理臨床家とは何か、と聞かれたら
私は「臨床心理学を深く学び続け、実践し、研鑽することが好きで、
人を理解するためにあらゆる角度と次元から数多くの可能性を考える方法を学び、
そして人を臨床心理学的に援助するために
聞く・話すというコミュニケーション技術の訓練を受け、
臨床を行う限り自分の専門性と技術と心理臨床に必要な精神性を向上しようと努力し続ける職人」
だと考えています。(かなりくどい表現だけど・・・)
また、そうでなくてはならない、と今のところ考えています。
これもまた修業の過程でかわっていくものなのかな?