風味絶佳


風味絶佳

風味絶佳


いやあ、よかった。
この方の本は、私にとってはすごくいいか悪いかに評価がわかれてしまいます。
この本はとってもよかったです!!短編の方が好きなのかなあ。私は、ふだん短編って物足りなくて嫌いなんですけど、山田詠美の短編はほんとうに綺麗です。


なんだかこの本は「肉体労働者との恋愛」みたいな宣伝のされ方をしてしまって、もったいなかったなあと思います。もっとこう・・・なんていうか・・・ある仕事をして生きている人間の風味と美しさをその苦さも含めて、おいしくしっかりと味わわせてくれる本です。


言葉も綺麗だし、情景も綺麗です。そして描写される人間もまた美しい。
タイトルも綺麗ですよね。


醜く、汚く、卑怯で、小さい。けれど愛おしく、優しく、切なく、愛すべき存在として人間を丁寧に描写するんですよね。この人の短編は。そして終わりがまた綺麗なんです。


自分の心から目をそらさずに、醜悪な部分さえ丁寧に見つめる。男性の弱いところも卑怯なところも受け入れて、まるごと全身で愛する。


そうやって生きようとする人だけが描くことのできる美しい人間のスケッチ。
いいなあ。こんなふうに人を描いてみたいなあ。


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