境界例


境界例というのは、やはり息苦しくもありながら魅力ある病です。
誰もが心の中にその心性を持っているからこそ、惹き付けられるものがあるのでしょう。人間としての普遍的な思い、「愛されたい」「愛する人に見捨てられたくない」「愛する人が自分を愛してくれていることを知りたい」、その思いにあんなに命を懸けて正面切って命をすり減らして戦えるのは、それが耐え難い苦しみによるものだとしても、やはり尊いものだと思います。


発達障害との関係、医師との長く愛憎半ばするこじれた関係、前セラピストとの豊かでありながらねじれた関係などなどが、家族と自分と学校での関係に絡まって、もつれて拗れた糸になっています。とうてい解けないし、自分で解けとも言えない息苦しさの中でどうよりそっていけるのか、どうすればクライエントにとっていちばんいい仕事ができるのか、日々身を切るようにこちらもやっぱり苦しんで考えます。どうしてもそうなってしまうのが境界例のカウンセリングの特性かもしれません。


・・・いい仕事をしたいなあ、と思います。



境界例・重症例の心理臨床 (心理臨床の実際)

境界例・重症例の心理臨床 (心理臨床の実際)

臨床1年目ときに買っていた本です。
その時はまったく深く読めていなかったんだなあと、最近改めて手に取って、まっさらなページを見て思いました。今読むと「すんごぃいい本じゃないかー、ココもココもライン入れてメモを取りたい!」という本でした。・・・きっと本を読む余裕もなかったのでしょう・・・。

今やっと、p59からの金山由美先生の「初心から中堅治療者の域を出ない」ときに書かれた折衷派の治療法というか、基礎としての治療法、というか巻き込まれながらの自分の見つめ方とクライエントの見つめ方などが、ほんとうに「あぁ」と心に染みます。


境界例の治療ポイント

境界例の治療ポイント

クライエントによる後書きがすばらしいです。クライエントと一緒に読める本として書かれている本はなかなかないのではないでしょうか。


自己愛と境界例 発達理論に基づく統合的アプローチ

自己愛と境界例 発達理論に基づく統合的アプローチ

学生の頃必死で読みました。また読み返す時期がきたみたいです。今度はもっと染み入るように。


境界性人格障害(BPD)のすべて

境界性人格障害(BPD)のすべて

  • 作者: ジェロルド・J.クライスマン,ハルストラウス,星野仁彦,Jerold Jay Kreisman,Hal Straus,白川貴子
  • 出版社/メーカー: ヴォイス
  • 発売日: 2004/06/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 15人 クリック: 105回
  • この商品を含むブログ (37件) を見る

最近購入。今待っているところ。表紙もなんだか気になる一冊。


境界例 (こころの科学セレクション)


心の科学セレクション。大御所の先生方の執筆が一堂に集められているすばらしい1冊。


Borderline Personality Disorder: A Therapist's Guide to Taking Control (Norton Professional Books (Hardcover))

Borderline Personality Disorder: A Therapist's Guide to Taking Control (Norton Professional Books (Hardcover))

これからぜひ読みたい1冊。“Taking Control” ってところが非常に気になる。よい本であればぜひ翻訳してみたいです。


境界例の力動的精神療法

 絶版・・・。