臨床心理士資格試験に合格した、私の愛する人たちにぜひプレゼントしたい本。


パーソンセンタード・カウンセリングの実際―ロジャーズのアプローチの新たな展開

パーソンセンタード・カウンセリングの実際―ロジャーズのアプローチの新たな展開

ロジャースのアプローチについて科学的に骨格を立てながら、わかりやすく論じています。「なんとなく」わかったついもりになっていたことを、すごい言葉でまとめてくれています。


例えばこの部分は、私が「好意を持ったらうまくいかないんじゃないかな〜」と考えていたことが(http://d.hatena.ne.jp/teto2005/20050822/1124725362 http://d.hatena.ne.jp/teto2005/20050903/1125759146)切れ味のある言葉で説明されています。

 無条件の肯定的配慮は、クライエントと価値観が似ているとかお互いに必要とするものを持っているといったこととは無関係です。無条件の肯定的配慮とは、カウンセラーが1人のクライエントの全体のどの部分をも大切にすること(valuing)です。カウンセラーは、クライエントが、より満足のいく意味ある存在であろうともがいている部分だけでなく、他の人間からもたらされる恐ろしい脅威から遠ざかろうとして立てた自己防衛の盾の数々をも大切にします。


まさにここに、この次元における治癒力の中心があります。つまり、この無条件性(unconditionality)は、それまでクライエントの成長を制約してきた承認の条件(conditions of worth)とは相容れないものであり、それだからこそ治癒力を持つのです。この無条件性は私たちの文化にはほとんど存在していません。


p4 第1章 無条件の肯定的配慮は“相手を好きになること”とは違います
デイブ・メァーンズ 『パーソンセンタード・カウンセリングの実際』 コスモス・ライブラリー より (強調部分はブログ筆者)


他にもタイトルだけですごい章がたくさんあります。

第5章 「自分自身」をクライエントと共にどれだけ治療的に利用できるか

第7章 「賢い」と思われたい気持ちに注意する

第10章 もし完璧でないならあなたは何をしたらよいか

第13章 クライエントと専門的に関わるにあたって、そのクライエント集団についての「専門家」である必要はないし、またそのクライエントの問題についての「専門家」である必要もない

第14章 クライエントの「身近(beside)」にいなさい。しかしクライエントの「味方(on the side of) 」になってはいけません


ね?すごいでしょ?
こうしてみると、やっぱり私はパーソンセンタード・アプローチなんだなあと実感しました。「ああ、そうそう、そう言いたかったの〜」と膝を打つことが満載で、宝箱のような本デス☆☆


春日先生、イトケン先生、ありがとうございます・・・



さて、こちらは精神分析的アプローチのすすめです。


え?一貫性がないって?チガイマスよ!この精神分析というところがキモなのです。


例えば・・・

第2章 治療対象の「見立て」とその進め方

第4章 耳の傾け方

第5章 口のはさみ方

第7章 解釈という関わり


などなど・・・。
どのようなアプローチを取ったとしても「自然に」やってしまうことについて、しっかりと基礎の姿勢から見直させてくれます。


どのアプローチにおいても、「聞くこと・口を挟むこと・見立てること・共にあること」をカウンセラーは行います。その精度をどれだけ高められるかという重要課題は、すべてのアプローチの基礎として、生涯研鑽し続けなくてはならないことです。スポーツ選手における基礎体力づくりです。


この2冊、一字一句舐めるようにして何度も繰り返して読む価値がある本です。