相変わらずカッコイイ作家
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2005/12/10
- メディア: 単行本
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「それは駄目だ、うん」山田が充血した目で、西嶋を覗き込む。「勝手なことしたら駄目なんだって。目先のことのために、歴史全体をね、左右しちゃ駄目だ」
「それなんですよ」西島が声を大きくする。「さっきの募金と同じですよ。関係ないんですよ!歴史とか世界とかね。今、目の前にある危機、それですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ。その結果、歴史が変わったって、だからどうしたって話ですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ、ばんばん。みんなに広めちゃえばいいじゃないですか。あのね、目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ」
仙台で過ごす5人の大学生の話です。
いつもながら、やっぱり、登場人物ひとりひとりが生き生きとクリアに描かれています。目の前に現れて好きなことを話し出すのではないかというくらい、その人のイメージがくっきりしています。
そして、その人物たちに語らせる台詞がいい。かっこよかったり、かっこわるかったり、哲学的だったり、傍若無人だったり。
まだ途中なんだけど、やっぱり作家に恋してしまう。もったいなくて続きが読めない。はぁぁ。