理想自我への執着と依存


「もうひとりの自分」がいたらどんなにいいだろうと人は考える。


親子関係において、友人関係において、恋愛関係において、人は相手の中に「もうひとりの自分」を見る。


自分の果たせなかった夢を果たしている。
自分があきらめたことをやり続ける。
自分がやりたくてもできないでいることを、代わりにやってくれる。
自分の劣等感を覆うものを持っていてくれる。


理想的なイメージをまとった自分の半身。


そして、いつのまにかその半身を意のままに動かすことができると思い始める。


「〜をしているあなたが好き」
「君には〜でいてほしい」
「〜をしてがんばっているのはすごいよ」
「もっとがんばれ」
「もっと〜したら?」
「こうしたらいいんじゃない?」


その首を「期待」という名前の鎖でつなぐ。「愛情」という衣をかぶった栄養を与える。「思いやり」という名目の鞭をあてる。