子どものケア

 このごろ、心の中でぶつぶつとつぶやきながらカウンセリングを行っている。


「クライエントのニーズは何か?クライエントの理論はどんなものか?」


そうすると、今までカウンセラーの視点からは「行き詰っている?」と感じていたものが、実は行き詰まりでも何でもなかったことに気づいたりする。このクライエントはこのペースで、このやり方で、今こうして関わること事を必要としているんだなと、カウンセラーがゆったりできるということに気がついた。このクライエントのニーズと理論にあわせることというのは、すごく基本的なことだけれど、すごく有効で大切な視点だ。


そんな感じでぼちぼちと臨床をやりながら、そろそろ平成18年度の講義の準備にとりかかる。発達心理学の準備などしていて、ふと子どもに関するよい本がけっこうたまっていることに気づき、ここいらでちょっくらまとめてみようと思った。


セラピーに直接的に役立つ本ではなく、理論的に概念的に学び、知識や考えを深めるためにおすすめの本です。


ただ、子どもの心身症のように見える症状などは、発達段階にもかかわるし、身体疾患との鑑別も難しいので、医学的な知識をおさえておかなくてはなりません。もちろん私たちが診断するわけではなくて、内科医や小児科医にコンサルトする必要があるかどうかを、子どもの利益のためにすばやくチェックするためです。

そういう点において、特にさいしょにすすめる3冊は基本的なものではありますが、必携といえるでしょう。特に、これから小学校でスクールカウンセラーを始める方は、ぜひぜひ☆



■オススメの本

小児心身症クリニック―症例から学ぶ子どものこころ

小児心身症クリニック―症例から学ぶ子どものこころ

渡辺先生は乳幼児−親子関係の治療に熱意を捧げ続けておられる、とても素敵な女性です。ご高齢ながらその魅力あふれる優しい笑顔は、誰もが癒さる輝きをもっています。見習わなくては!この本は症例中心です。医師の視点からですが、文の間からにじみでるあたたかさがあって、その症例の子どもの顔が浮かんできます。心療内科に訪れる子どもたちの具体的な症例が非常にわかりやすく、授業でケース研究として扱うと、学生たちの顔が真剣なものへと変わります。



■学生や小学校の先生、保護者にむけてわかりやすく伝えるときの資料として・・・

臨床家が知っておきたい「子どもの精神科」―こころの問題と精神症状の理解のために

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よくわかる子どもの心身症―診療のすすめ方

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LD・ADHD・高機能自閉症の子どもの指導ガイド

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子どもの心の病気がわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

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■講義において、さらに深く考えるためのおすすめ

新 子どもの問題ケースブック

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発達臨床心理学の最前線

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■研究などのヒントにも

育児・保育現場での発達とその支援 (シリーズ臨床発達心理学)

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