あのふたりの行方が気になるのはなぜ? 綿矢&金原

サンディエゴの海岸(ラ・ホヤ)



ハイドラ

ハイドラ

やはりまた読んでしまいました。
今回の主人公も摂食障害です。以下は私の解釈によるストーリー説明です。ですから、読む人にとっては違った物語になるのでしょう。
ある男性写真家の専属モデルをしている主人公は、その男性に関心を持ち続けてもらうために拒食(粗食して飲み込まずに吐き出す)を続けています。その生活の中で、「ありのまま」の自分をまるごと愛してくれるのではないかと思われる男性に出会います。ストレートな愛情で自分を求めてくれる彼に、ひかれていく主人公。けれど、彼女は気づくのです。「ありのまま」の自分を愛そうとしてくれる彼は、彼女の拒食を知ることで傷つくということに。それはつまりは、ありのままではないということに。


精神の強さと弱さというものの形にドキリとさせられます。


夢を与える

夢を与える

小さな子どもの頃から半永久的にCMに出演し続ける「ゆうちゃん」。
両親は離婚すれすれのリアルなやり取りを続けている。
結婚の経緯からして、なかなかリアルで怖い迫力がある。
けれども、普通の「親が離婚してしまう家庭のなかの子どもの話」ではない。作者の物語のなかの主人公はみょうな力強さをもっている。それで、ついつい目で追ってしまう。