『ラジオ・キラー』 あの『治療島』の作者の新作!


「自分が一番愛している人間が、自分にとっての最大の謎なんだ」
セバスチャン・フィツェック著 『ラジオ・キラー』柏書房 p230

ラジオ・キラー

ラジオ・キラー


とにかくおもしろかった!!!
大きな謎に満ちた、スピード感と緊迫感にあふれる物語のなかで、私にとってはこの主人公、交渉人として闘う心理学者の女性の娘の自殺の謎が最後までとけず、最後までドキドキしていた。


娘の自殺を自分のせいであると自責する心理学者の母親、
その事件以来母親を憎悪する妹、
消えた遺書、
自殺の理由がわかるようでわからないまま進むストーリー、
「ラジオ・キラー」となった知能犯と主人公の女性がなにかでつながっているようでそれがなんなのかもわからないままひっぱられていく・・・


前作の『治療島』もスゴイ! とおもったけれど、今回もスゴイです。
毎回心理学者が活躍(?)するところもいいですね〜。
どしどし戦わせたり、悩ませたり、ノイローゼにさせたり、アルコール依存にさせたり、走らせたり、逃げさせたり、してほしいですヨ。


今思ったのですが、この作家は、心理学者の苦悩をしっかりと、人間らしく描いてくれています。
自分の問題で苦悩し、戦い、敗北し、打ちひしがれながらも、目の前のクライエントをなんとか助けようとして、プロとして機能しようとして人間らしくもがいて苦しむところを、よく表現してくれていると思います。
そこがいいのだなあ・・・。


ドキドキサスペンスの前作:精神科医&父が主人公。

治療島

治療島