家庭内の心理的虐待を知る秀逸な物語
心が痛くなるくらいに、いいマンガです。
再婚過程で実父と継母に心理的虐待を受けていた主人公。その主人公が恋する男の子もまた、不仲な両親の間で情緒的なネグレクトを受け、心の傷を抱えている。その2人がであって互いを大切に思うようになるのだけれど、その悲痛なくらいに「誰かを愛したい。大切にしたい」という思いが伝わってくる。
彼らは愛されたいのではない。愛を受け取ってもらいたかったのだ。愛することを許されたかったのだ。愛されないことよりも、愛することを許されない方が数倍も辛いのではないか。その悲しみがほんとうにジンジンと伝わってくる。
…なんで?
なんでそうなるの?
なんであたしも
嫌いにならなきゃ
−言い返せ 馬鹿 早く 言葉がなんで
すぐつまる ノドに はりついて−
じゃあ“嫌い”なら 好いてくれたの?
駄目だ
これくらいのことで もう 飲まれるじゃあ家を出て(中略)楽しいことも嬉しいこともたくさんあってなのにこれくらいで
すぐ心が駄目になるなら皆が側にいてくれる意味ってなんだ全部こんな簡単に
側にいてくれるのに与えてくれるのになのに全部“無し”にする自分はなんだ皆は
何の為に 何の為に 何の為に 何の為に…嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い 嫌い
自分が嫌い
家族から愛されなかったら、家族を愛することを許されなかったら、自分を嫌うしかない。そんな子どもがカウンセリングの現場にはたくさんいて、とてもとても悲しくなる。
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