時給の高さは実は割に合わない:年度始めのスクールカウンセラーの忙しさ


 仕事に追われて忙しい。まったくサラリーマン男性の恋人に対する言い訳のようである。しかし、実に忙しい。


 それというのも、スクールカウンセラーの勤務がちょっと変わったからである。昨年度は2校で8時間と6時間だった。今年は3校ですべて4時間ずつである。つまり、去年8時間でやっていた仕事を4時間でして、6時間でやっていた仕事を4時間でして、さらにまったく新しい環境で4時間分の仕事が追加された。


 最初は半日でそれぞれ帰れていいかもな〜などとのんびり思っていたが、とんでもなかった…。


 スクールカウンセラーとはたいていの場合1校に1人、週に1日か2日、4時間〜8時間勤務する。週に1日しか勤務しないということは、週5日分の仕事を1日でやるということ。予約が入っている子、あるいは緊急を要する子の面談をする→担任にコンサルテーションを行う→記録を残す、他の日の指示を残す(どういう方針で関わるべきか、こういう行動があらわれたらこう対処するのが望ましい、という処方箋)。4時間で3人と面接し、3人の担任と話し、3人分の記録を書き、指示を残す。ときには教室に出かけ、子どもの様子を見て、関連機関に電話連絡もする。紹介状も書く。4時間で。無理。あわただしい。1秒たりとも無駄にできない。イスに座っていられない。


 疲れた…。スクールカウンセラーがよい働きをすれば、評判がよくなる。すると依頼が増える、面接が増える、もっともっと忙しくなる…。先生が移動して、その移動先の学校から講演の以来が入る。嬉しい。期待にお応えしたい。もっと時間がなくなる。充実する。でも時間が足りない。


 非常勤仕事の問題点は、「今日の仕事を明日できない」ということである。これはけっこう辛い。明日にはまったく違う場所で違う仕事をしている。だから、4時間で一週間分の仕事をしなくてはならない。責任も負う。時間外にもけっこう働く。4時間分の時給は、専門職としては十分な価格ではあるが、実は「1週間分」のお給料であり、まったく割に合わない。学会も自腹、本代も研修会も、国民年金も、健康保険も、住民税も、ぜ〜んぶ自腹。病気になったらなんの保証もない。自分でしっかりと生命保険をかける。これも自腹。


 こんなに割に合わない仕事だけれど、病院のほかに学校臨床を続けているのは、やっぱりやりがいがあるからだと思う。そのやりがいとは、予防活動ができること。これは病院では絶対にできない仕事だといっていいと思う。とくに小学校の仕事はやりがいがある。保護者と先生といったいのチームとなって子どもの発症を未然に防ぐことが可能である。これはうまくいくと、ものすごくやりがいがある。すごく嬉しい仕事である。子どもの早期の回復力はすごいもので、すくすくっと元気になって、ニコニコといい顔になって、毎年年賀状をくれたりする。普通カウンセラーはクライエントに住所を教えないものだけど、学校側から他の先生の住所と同じ感覚で教えられてしまうこともある。でも元気なプリクラがついたお手紙が来て、「大学生になりました!」と日常の様子を教えてくれたりして、“普通の先生”の気持ちも味わえる。私の勤務する病院は重度の方が多いので、1年や2年で改善してよくなっていくということが少ないので、やはりさっと元気になる子どもたちの援助をできるのは嬉しいものだ。



 愚痴を書いていたはずが、いつのまにかやりがいを書いている! これは仕事がやっぱりスキってことなのか、それとも心理職の職業病で、無意識にポジティブリフレイムしてしまうのか…。