なぜ心理職は人の悩みばかり聞いていて苦しくならないのか?
この仕事をしていると「どうやって気分転換しているんですか? 辛い話ばかり聞いていて、辛い気持ちになりませんか?」とよく聞かれる。もちろん、かなり大変なケースがあった日にはどっしりと疲れてはいるけれど、それはもちろん「作業をした」という疲れであって、精神的に辛くなるということはない。
どうしてだろう。自問してみる。よく使う答えは「専門家として訓練を受けていますから」というものだ。でもあらためて考えてみると、先生方や看護学生たちが「人の相談にのって重い話を聞いていて、自分も重苦しい気持ちになって辛い」みたいなことをよくいう理由がよくわからない。
理論としては、「この人には自分で解決する力があると信じる」「面接時間以外ずっとこの人は自分の力で人生を生きている人であるということを理解する」ということになるし、相談者の「自己治癒力、自己解決力があると信じて、それを引き出す作業をする」だけなので、話が“重い”としても“軽い”としても、必要とされる作業はあまり変わらないからということになる。
まあそれはあくまでも理論上の話。実際には、うーーん、なんで重苦しくならないのかな? 考察してみる。
- まわりにたくさん臨床心理士や精神科医がいて、話すとすぐに理解して受容してくれるから。
- どんな話も60分でかならず終わるから(専門的なテクニックとしての「枠」があるから)。
- 「自分が何とかしてあげなくては」「解決してあげなくては」という、一般人の視点とは異なるから。
- うまくクライエントの話を「明確化」できるように聞くので、話が整理され、こちらもなんとなくすっきりするから。
- 回数と信頼を重ね、理解が深まって、「直面化」「解釈」がきれいに決まって、お互いにじぃーんとするような「気づき」が起こるという感動的な心の成長場面に立ち会えるというこの仕事の醍醐味があるから。
- クライエントのネガティブな「重苦しい」話しの中にある健康性がしっかりと見えるから
- 部分的に一時的に忘れるという技術が向上してくるから(仕事と仕事以外の「解離」がテクニックとして起こるから)。
- おいしいご飯を食べるから。
- 家に帰ると家族がいるから。
- 家に帰るとデブなネコがぐーぐー寝ているから。
- 友達のメールを読んで返事を書くから。
- ブログを書くから。
- 帰り道は30分運転をするから。
うーーん。でもなんか、コレっていう感じがしないな〜。なんでだろう〜? なんで臨床心理士はバーンアウトしないんだろう?
14 人間心理に対するあくなき探究心と知的好奇心があるから。
15 人間心理のありようとカウンセリング技術についてのオタクだから。
あー、なんか近づいてきた気がするなー…。読者の皆さん、何かよい意見があったら教えてくださいね☆