大学院と臨床心理士資格試験と自信についての考察

のだめカンタービレ (CCCD)

こんな「のだめCD」を聴きながら、仕事の疲れを癒しつつ、
今日はきままにカウンセリング論を書いてみます。


といってもたいそうなものではないのですが。
このごろ同じ職場の後輩が臨床心理士の資格試験の受験勉強をしています。
自分が仕事で使っている分野だけではなく、心理臨床のあらゆる分野を勉強しなくてはならないという、登竜門というか通過儀礼というか常識というかきもだめしというか・・・。
この試験については心理士によって意見の分かれるところです。


この試験の利点を私なりに考察しました。それは「自信」という観点から見た利点です。


カウンセラー(心理臨床家)という仕事は、いつまでたっても「これでばっちり!」という自信が持てません。それは、前にも書きましたが、「似たような症状を示す人はいても、決して同じ人はいない」からです。毎回、全く初めての人と出会います。その人にしかない症状で、その人だけの意味があって、文脈があって、タイミングがあって、物語があって、必然性があります。ですから、「これで十分」と自信がつく日はきません。例えば何年もカウンセリング空間をともにしている人であっても、やはり初めての気持ちがあり、思考があり、出来事があります。
こちらは、いつでも初心です。


そんなカウンセラーを支えてくれるかすかな自信のようなものは、

  1. 学部での心理学全般の勉強
  2. 大学院での臨床心理学の理論と実践的な勉強
  3. 実習
  4. SV
  5. 日々の勉強量と向上心
  6. 医学的知識
  7. 新しくて、ちょっと詳しい脳の知識
  8. 心理臨床の実務&雑用に関する知識と経験
  9. これまでの経験(社会、友人、恋愛、家族、システムなどとの関わり)
  10. これまでの経験の中で考えたことの量と深さ
  11. 日々の生活の中で感じたこと考えたこと気づいたこと
  12. 趣味、小説、映画などの中で感じたこと考えたこと気づいたこと
  13. 臨床心理士資格試験に合格し、資格を与えられたこと

などから生まれるものです。


ですから、大学院と資格試験さえクリアすればよいカウンセラーになれるわけではありませんが、それがあると「このままこの仕事でがんばっていってもいいんだな」という自信を与えてくれるものがちょっと増えます。
最初の5年間なんて、とくに自信をもてないし、ちょっと自信がついてもすぐなくすします。「そもそもこの仕事でいいのか・・・向いてないのでは・・・」と、すぐ落ち込みます。
そういうときに、大学院と資格という最低限のハードルをクリアしていないと、勉強し続ける意欲もくじけやすいのではないかなあと思います。


他の心理士さんは「自信みたいなもの」について、どうしているのかな?