カウンセラー過疎地日記



講演をしてきました。
スクールカウンセラーをしている、小さな町での講演です。
ぎりぎりまで講演者が見つからなかったらしく、私にまわってきました。


そういえば・・・この前、院の同窓生の結婚式で仕入れた情報ですが、「島」のカウンセラーは島手当てが出るらしいとか、住居支給らしいとか、他にカウンセラーがいないので島中の仕事がまわってくるらしいとか、それでも使うところがないから金がたまるらしいとか。


「おお!すごい!行ってみようかな!」


なんて思わず言っていましたが・・・ここも一緒デシタ・・・。


いや、住居は支給されませんし、島手当ても寒冷地手当てもありません。けれど、仕事がやたらまわってきます。


☆☆まわってくる仕事☆☆

  第1位 小さな町の学校のPTA向けの講演
  第2位 僻地の保健所の乳幼児健診
  第3位 専門学校の講義
  第4位 小さな町の高校の先生向けの講演
  第5位 非常勤の仕事


ソウデスネ・・・。いろんな仕事ができてとてもありがたいです。医師の新しい研修医制度スーパーローテイトシステムのようです。特に第5位の非常勤の仕事がじゃんじゃんまわってくるところなど、すばらしいです。まわってきすぎて、「うわぁ、あれもやってみたい!」「ここでも仕事をしてみたい!」と情熱のままに引き受けていると、大変なことにナッテシマイマス・・・。危うく燃え尽きます・・・。


長谷川式0点の認知症の方から、IQ測定不可能の重度の知的障害、入院年数50年以上の慢性の統合失調症、急性期の統合失調症、様々な症状の重症例〜軽症例〜前駆症状、1度の面接で症状が軽減する適応障害まで、仕事を始めて5年で経験できるとなると、これはもう得がたいほどにすばらしい環境です。


臨床家は田舎で鍛えられるのだ!!



と、強がって叫びたい気持ちです。


けれどその分自己マネージメント能力が必要になります。引き受けすぎてもいけない、力量を超える仕事もいけない、過労働になって燃え尽きたりストレスが身体化されるほど仕事を入れてもいけない・・・かといって食べていけないものいけない。


そして、学会や研修会に十分行ける時間をマネージできなくてはならない、新しい論文を入手し、本を買う費用も必要であるし・・・。やる気を維持できるように、定期的に仲間と連絡を取ったり、刺激を受ける場所も確保しておかなくてはいけない。ひとりよがりにならないよう、スーパーヴァイズ・グループスーパーヴァイズを受ける機会も確保したい・・・。


自分の地元でない場合は、方言をマスターしなくてはならないし、その土地の価値観や歴史的な土地勘、土地ならではの偏見もつかまなくては、臨床を行うときに不利になるし・・・。さらにその地方の病院や施設の設備・心理士の配置・評判、医師・臨床心理士などの人柄・得意分野も知っていないと、苦しいですよね。


田舎ならではのよい面もあり、悪い面があるのです。
まあ、どこでもそうなんですけどね。


でも、思うんです。
臨床をやるなら、自分が心地いい場所でやれ!!って。


景色が好きだったり、家族がいたり、住み慣れていたり・・・。
とにかく自分が住んでいて居心地のいいところ、自分が好きなところで仕事するのがいちばんです。そうしてこそ、初めて質の良い臨床力が発揮されえるのではないかと思います。


仕事というのは、結局のところは、その町に対する奉仕であり、その町に住んでいる人に対する奉仕です。ですから、「好きな町」であればあるほど、仕事が楽しくなります。がんばろうって思います。講演しても「伝わってほしい。心が楽になってほしい。少しでも力になりたい!」と願いつつ、熱い気持ちでお話させていただくので、評判もよくなるようです。


私は・・・図書館が素敵な町であれば、けっこうるんるんと仕事をしているかもしれません。お昼休みや帰りにその図書館によるのが楽しみで仕事をして、税金を納めるのも「あそこで本になって帰ってくる・・・」と念じつつ納め、それだけ還元してくれる町だからこそ、少しでも力になりたいと、私のできる唯一の形での職業で社会に奉仕することができる・・・もしかしたらそれが「生きる」ということの幸せの一つの形なのかもしれませんね。


んー、でもやっぱり断りにくい講演の話がたくさんまわってくるのは嫌ダナ・・・。