盗まれた記憶の博物館

春のお散歩 木と夕陽



盗まれた記憶の博物館 (上)盗まれた記憶の博物館 (下)


読了☆
すごーくおもしろかった〜!
久しぶりに本の世界に引き込まれて、カラフルな世界をワクワクドキドキしながら探検しました。友情と信頼で結ばれた仲間【失われた記憶達】とともに、危機をくぐりぬけていく・・・。


アドベンチャーとしても素晴らしいし、歴史ミステリーとしても読み応えがあるし、物語としても、心理学的に興味深いものがあります。


「追放されし記憶の湖」「忘れられし感情の泉」「忘れられしものの海」
その本質を人間に忘れられた記憶は、生きた記憶となって別の世界に存在する。形のない記憶は湖や泉にたゆたっている。

湖にたたえられているのは形をもたぬ記憶たち。前向きな感情と後ろ向きの感情。愛する人とふれ合ったときの気持ち、愛する人の死に直面したときの苦痛、いなくなったと思っていた子どもを見いだしたときの親の喜び。そうした感情は、形をなさないからといって意味がないといえるだろうか?そうした記憶たちは、人間の人生にとって、新品の自転車やステレオやおもちゃよりもはるかに大切なものだ。


ラルフ・イーザウ『盗まれた記憶の博物館 下』あすなろ書房 p231


このような記憶が盗まれたら?あるいは破壊されたら?
あるいは人々がぼんやり感じながら忘れてしまう感情はどこへいくのか?


「人間の意識は記憶である」という心理学者あるいは脳生理学者もいる中で、この物語は心理学的にとても興味深い思索を導いてくれそうである。


とにかく、この本がすごくおもしろかったので、さっそくこの作者の他の物語も読んでみようと思う。幸いにもたくさんあるようなのでとても楽しみ!!


パーラ〈上〉沈黙の町パーラ〈下〉古城の秘密ネシャン・サーガ〈1〉ヨナタンと伝説の杖