きみの幸運を祈る

ひとりぼっちのきみへ


 きみは毎日いそがしく仕事に追われ暮らしている。上司や同僚にはきちんと気をつかい、職場ではほがらかな態度を崩さない。のみ会の誘いはあまり断ると角が立つので、半分くらい参加する。年に数回しか会えないが、学生時代からの友人も片手であまるほどいる。ガールフレンドはいたり、いなかったり。異性にもてるというほどでもないが、まるで縁がないわけではない。なにが不自由ということもないし、きっとそこそこ幸福な人生なのだときみは思っている。

 ぼくの見るところ、多くの若い日本人はそんなふうに日々をすごしている。それなのに、なぜかきみはひとりぼっちなのだ。それもときに身を切るようなつらさで孤独感におちいることがある。きみは周囲の人々や職場の環境にあわせて、自分をきゅうくつに折りたたみ生きている。自分の色を消して、組織のなかに溶け込もうとしているのだ。



石田衣良空は、今日も、青いか?日本経済新聞社


石田さんというのは、癖のない文体で、すぐ近くにあるようなことを、ぐっと心をつかむような言い方で伝えるのがうまいですね。


このエッセイ集は、雑誌に連載されていたもののようで、25歳以下くらいの社会人に向けて書かれています。内容としてはあっさりしていますが、彼らの心の届くように、ていねいに書かれているように思います。


文章を書くときに、「色」を思い浮かべるというかテーマカラーを決めて書くというところに、なるほどなと感じました。共感覚でしたっけ?そういう感じがありますね。私もカラーをイメージしながら書いてみよう!!


あーでも、散文のときは、ふっとある一つの「感情」がきっかけとしてやってきて、その後なにも迷うことなく、ぐわわわっと書いていますね。散文の決め手は「ひとつの感情」なんです。悲しみとか、怒りとか・・・。うん、色と言い換えられなくもないのかな?




ちなみに、今日涙した本は・・・


おれはティラノサウルスだ (絵本の時間)

おれはティラノサウルスだ (絵本の時間)

おまえうまそうだな (絵本の時間)

おまえうまそうだな (絵本の時間)

きみはほんとうにステキだね (絵本の時間)

きみはほんとうにステキだね (絵本の時間)

あなたをずっとずっとあいしてる (絵本の時間)

あなたをずっとずっとあいしてる (絵本の時間)


です。


疲れが吹っ飛ぶ涙ぐあいですヨ・・・。


すれ違う愛の悲しさ・・・。
違うもの同士だけれど、伝わる深い愛と思いやり・・・。
ただ愛するという行為の尊さ・・・。


さらに、タイトルの素晴らしさ。
ティラノサウルスというメタファーの素晴らしさ。


ぜひ未読の方は読んでください!