平 安寿子(たいら あすこ)さんを、おすすめ

 誰にも本気で思われないから、俺は寂しい人間だと?甘ったるいこと、言うんじゃねえや。
一番寂しいのはな、誰かをあんなに好きだったのに気持ちが冷めた、それがわかったときだ。

 俺は確かに、自分が一番好きだ。自分への愛情は変わらない。決して、冷めない。だから俺は、寂しくないんだ。


  (平 安寿子 『Bランクの恋人』 実業之日本社 p36)


Bランクの恋人

Bランクの恋人


愛の保存法

愛の保存法


最近この方の本を2冊読んだのですが、なかなかよいですよ!オススメ。
イマドキ作家のように文体は軽いのですが、リズムが効いていて、落語のようにするすると読めるんだけれど、腹持ちがイイんです!(たぶんこの作家は落語好きではないかしら?)


なんだかイマドキの恋愛を、すごくうまいところで金魚すくいみたいにくいっとすくいとる、そんな感じの小説だと思いました。重くない、暗くない、苦しくない、けれどお腹にとすっとくる。そういう塩梅がとてもうまい人だなあと思います。


そうですね・・・お風呂で読むのにしっくりいい感じ☆
短編だけど、短編ではないような…短い物語ながらも、ひとつの世界の中へぐいっと引き込んでくれます。本来は短編嫌いな私も、なんだかくいっくいっと物語をすくっちゃっているのです。
タイトルも、いいよね。