休日は読書で 恋に臆病なときも


不思議を売る男

不思議を売る男


おもしろかった〜!
児童文学なのですが、「物語」のおもしろさがたっぷりと詰め込まれていて、子どもだけの本とするにはもったいない本です。骨董品店に住み着いた不思議な男性が、商品にひとつひとつ豊かな「物語」をこめて売るのです。これはもう・・・お話好きにはたまらないです!オススメ!


ちなみにニューベリー賞とガーディアン賞というのを受賞しています。思わず手に取るでしょ?
表紙と挿絵は佐竹美保さんです。この人の絵は本当に素敵!最近の有名なものでは『ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)』もあげられるかな?不思議さと、物語の奥行きと、あたたかみが一度に伝わってくる絵です。いいなあと思っていたら、最近よりいっそう目にとまるようになりました。選択的知覚ですね☆

ハウルの動く城1  魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)

ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)

ハウルの動く城2 アブダラと空飛ぶ絨毯 (ハウルの動く城 2)

ハウルの動く城2 アブダラと空飛ぶ絨毯 (ハウルの動く城 2)



さて、先日読んだ本で、さらにぐぐっとくるところがあったので、ご紹介します。
とくに!!恋愛に臆病になりがちなあなた!!注目です。

「あんたはケチンボなんだよ。利息のつかない愛情は預けられないんだ」
 このたとえには、責められているのに、目から鱗が落ちる思いだった。
 どんなに気に入ったおニイちゃんがいても、わたしを好きになってくれそうもなければ、涙を呑んであきらめた。積極的に好意をフル回転させるには、向こうもわたしを好きでなければいけない。わたしはいつも、彼の行為の量を計った。つまり、利息が保証されないと愛を預ける気になれなかったのだ。
 だから、相手の気持ちが薄れ、利率がどんどん下がっていく様子が見えると、持ち出しになって損する前に全額引き出してしまう。
 ああ、よかった。これで自尊心の安全は守られた。平気な顔して、生き延びられる。そう自分に言い聞かせた。未練があるなんて、絶対に認めたくなかった。   (P206)




そうだ。わたしはケチンボだ。人間はそう簡単に改善しない。
 くうちゃんとの間にある友情という名の愛情はわたしにとって新しい経験だが、彼に差し出す信頼や思いやりはしっかり利息つきでわたしの懐に還元される。この頃のわたしは、それで半分満たされている。
 そんなわたしに、くうちゃんは「ダメだよ、恋愛しなくちゃ。愛情を出し惜しみしてたら、自己愛だけですっからかんになるだけだよ。あるだけ使いきれ。そうしたら、自分でも気付いていなかったタンス預金が出てくるんだから。そういうもんだよ。思い切り出せば、ちょこっとでも利息が入るしさ。ケチは、モテない。ゲイにもストレートにも」と、大盤振る舞いを奨励するのである。 (p223)




平 安寿子「利息つきの愛」  『Bランクの恋人Bランクの恋人実業之日本社