ありふれたこと、生きるということ

 
 叶わないことや受け入れられないことがこんなにも巨大なのに、今までどうやって生きてこれたのかわからなかった。叶わないことを願い、受け入れられないことを受け入れるのが生だとしたら、これからどうやって生きていけばいいのかわからなかった。

 中村航 『100回泣くこと』 小学館 p160

100回泣くこと

100回泣くこと


愛すること、生きることというのは小説において普遍的なテーマである。ありふれている。最初の方は少し「ふーん・・・」と思う。春樹みたいな比喩にムムっと思う。この小説は、ほんとうにありふれている物語かもしれない。けれども、あたたかく美しいひとつの関係性が確かにあって、私はそれに涙した。


ふたりのささやかな日常がとても美しかった。
ふたりが一緒にすごす日々のリアルな手触りが確かにあって、あたたかかった。


図書館で見かけたら、ちょっとオススメ。