自分の、自分だけの答えって?
- 作者: アルテイシア
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2005/06/17
- メディア: 単行本
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そう。大切なことは、外見でもなく、職業でもなく、年収でもなく、人格でもないのです。自分以外の「他の人」から見てカッコイイ人でもないのです。うらやましがられる人でもないのです。
ただ、自分がもういとおしく思える人であること。
ただ、その人が自分のために、大事にするために、しっかりと努力してくれること。
どれだけ、離れまいとお互いにがんばるか。
なのです!
この本は、ブログが書籍化されたものです。図書館で見かけて、軽い気持ちで借りました。でも読み始めると、止まらなくなりました。すごく大事なことが、等身大の飾り気のない文章で書かれています。とてもすばらしいです。『電車男』を思わせる内容のようですが、むしろ恋愛経験があるがゆえに、恋愛に臆病になりがちな「恋愛慣れした」女性向けだと思います。
ちょっと長くなりますが、ハートにぶさっと突き刺さる部分を引用してみますね。
「先が読める恋愛のつまらなさ」「戦略・テクニックで手に入れることの虚しさ」「本当の自分を見せることへの恐怖」「どんな姿を見せても変わらず愛してほしいという渇望」・・・・・・
59番は「オタク・もてない病」をこじらせているけど、アルテイシアは「キャリア・戦略モテ病」をこじらせています。
こっちの病気のほうが、たちが悪いと思われます。 (p30)
で、キャリアは、それが仕事だったら「一回目のアポでわかり合えるクライエントなんていないよ。本当の弊社の思い(自分の思い)をわかってもらうのには時間がかかるよ」って日参するし、「客っていっても、いろんな種類がいるわよね」と思えるのに、こと恋愛になると「あんな奴に私の想いがわかるわけがねえ!」「やっぱ男なんてみんなそうよ!」と決めつけるわけですよ。
恋愛に関しては、いたって短気。てゆーか短絡的。
視野も狭いし、あまり学習もしない。
駆け引きしているようでいて、実は恋愛学学んでないからなー。
珠緒系女子がせっせと「マジョリティに愛される自分」作ってる時に、キャリア作ってたからなー。(p61)
「・・・・・・ラク!」
今までだったら、「怪我だいじょーぶ?早く治してね(はーと)アルぴょん」とか書いて「ま、これでいーだろ」と送信していたはずですよ。
返事がくるか不安にならなくてよい。相手の期待に応えるよう書かなくてよい。本音で好きなことだけ書いてよし。
楽。ていうより、今までほんと使わなくていい筋肉を使って恋愛してたんだな・・・・・・。(p103)
−アルテイシア著『59番目のプロポーズ』美術出版社 より−
なんだかいろんな人とつきあうことができる今の世の中。
誰かを「しっかりと好きになって、好きでいてもらえるように努力して、その人を大事にする」という技術が磨かれにくくなっているのではないかと感じます。
ダメなら、次の人。
そういう感じで。「苦しくてもうまくいかなくても、やっぱりその人じゃないダメだから、お互いにがんばってがんばって、ちゃんと正直に話し合って、少しずつ関係をつくりあげていく」というもっとも必要な部分が磨かれないままのようなのです。そして、次々と「もっといい人」を求めて漂流するのです。そんな人いないのに。「いい男がいない(いい女がいない)」と文句をいいながら・・・。
けれど、「その人」は今あなたの目の前にいて、世界にたった一人しかいないのです。代わりはない。だから、どんなに辛くても、うまくいかないときがあっても、歯を食いしばってがんばるのです。怖くてたまらなくても、正直に気持ちを伝えるのです。
それができなくなって、「かっこいい恋愛」とか「おしゃれでスマートな恋愛」ばかりを求めている人たちがとても多いように感じます。20代の頃の自分も含めて。いい車で迎えに来てくれて、おしゃれで、おいしいご飯をごちそうしてくれて、素敵なプレゼントをくれて、かっこよくて、やさしくて・・・もしそうじゃないところが見つかっていったら、「ん〜ダメ。次」、あるいは「何もいわなくても、思ってくれて大事にしてくれて、こちらの気持ちを察してくれ」なかったら、「わかってくれない!ひどい人!別れる!」とかね。
自由恋愛の弊害に負けず、目の前の人をとことん大事にするような恋を、特に今の10代20代の子達には見つけてほしいなと思います。