『愛の流刑地』にみられる男性の恋愛ファンタジー


愛の流刑地〈上〉 愛の流刑地〈下〉


上巻まで読んで思いました。


ああ、男性にとっての「恋愛」とは女性にとっての恋愛となんと異なるものか!!


途中でなんども止めようかと思ったのですが、心理学者としては面白いので読んでいます。
さて、どこが面白いかというと、やはり男性にとっての「恋愛ファンタジー」がくっきりと描かれているところでしょう。もちろん渡辺流(あるいは日本経済新聞読者層を想定した「恋愛ファンタジー」)であって、一般男性すべてに適応できるわけではないと思うのですが、それでもある程度の普遍性があるからこそここまで話題になっているのだろうと思うのです。


では、以下その恋愛ファンタジーの男女差を考察してみます。


まず、女性の恋愛ファンタジーですね。これはもう女子中高生が読んでいる少女マンガにおいて多く見られます。

(参照:星の瞳のシルエット (1) (りぼんマスコットコミックス) ときめきトゥナイト 1 (集英社文庫(コミック版)) 花より男子 完全版 1 (集英社ガールズコミックス)

 

(「結婚シマス♪」とか言っているE○ミ出身のアナタ!!メモを取りなさい。)

  1. であった瞬間、外見を通して感じられる人間性・あるいは「人間性」そのものに強く惹かれあう。
  2. 相手も自分も全く同じ気持ちである。
  3. いろいろなことを語り合う。話をたくさん聞いてくれる。そしてわかりあうことができる。
  4. 永遠にどんなときも相手の人間性に惹かれ続ける。
  5. 彼は彼女を「好き」ならば必ず「結婚してほしい」「一生きみと一緒にいたい」と言う。
  6. 彼は何があっても、何をされても、そんなに仕事などで疲れていても辛くても、常に彼女を思いやることができる。彼女を嫌いになることはない。永遠に彼女の人間性を愛して支え続ける。
  7. 彼はかっこよくて周りに羨ましがられてしまうほどで、仕事もできて、食事をご馳走してくれて、上手にエスコートしてくれる。
  8. 彼にはオタクな趣味もなく、彼女ひとすじというか、趣味が彼女という感じである。もちろん友達よりも仕事よりも彼女が大切で、何よりも優先される
  9. 仕事中も常に毎日彼女のことを考えている。彼女のことはなんでも知りたいと思っている。常に彼女の役に立ちたいと考えている。

あーなんだか、書いていて気付いたのですが、恋愛初期は男性がこのような女性の恋愛ファンタジーに合わせようとがんばってくれているのですね。



それは…大変なことでしょう。恋愛に踏み込めない男性が多いのもなんだかわかるように思います。女性の恋愛ファンタジーも男性のものに負けず劣らずヤバイですよね。いやー、これに合わせるのは大変ですよね…。だから、



「優しかったのは最初だけじゃない!」



なんていわれちゃうんですんね。でも、最初めちゃくちゃ無理してがんばってくれたんですね。そうしないと女性は恋愛に踏み込んで来ないからね。


さて、では次に『愛の流刑地』にみる渡辺流男性ファンタジーの考察です。

  1. 女性はほとんどしゃべらない。 (しゃべるとちょっと怖い)
  2. 女性は常に清楚な格好をしている。でもベッドに入るときは白いスリップ一枚で下着は付けない。
  3. 女性は自分の仕事について尊敬してくれている。常に信じて励ましてくれる。(たとえ仕事してなくても)
  4. 女性は自分の生活の仕方やお金の使い方や仕事の仕方、性格について、全く意見をしない。
  5. 自分を愛する女性は、会った瞬間に服を脱いでスリップ一枚になって、恥じらいながら自分のベッドにするりと入ってくれる。
  6. 女性は自分との性的関係において、他の男性とは知りえなかった「初めての深いヨロコビ」を得られる。
  7. 女性とは、お互いに激しく求め合って、会う度に新しく深い性的喜びを探求する。=「愛し合っている」
  8. 女性は、自分との関係にどれだけ先が見えなくても、そのとき自分との関係において性的に満たされていれば、決して他の男性に気持ちが移ることはない。


ん〜・・・女性の恋愛ファンタジー激しく異なる のですね〜。


ただし、これらはあくまでファンタジーなのです。幻想です。現実とは異なるという事を、ほとんどの人がレベルの差はあるにせよ理解しています。


どこまでファンタジーと現実は異なるのかを理解しているレベルの差が、恋愛関係や結婚関係における不幸を生み出すのかもしれませんね・・・。


ファンタジーはファンタジーとして、現実との解離を受け入れ、それでも多少はお互いに相手のファンタジーを尊重しながらも、一個の人間として相手とつきあい、自分との関係性を現実のレベルで努力しあいながら理解し合い深めていくという作業が、恋愛であり結婚なのかもしれないですね。



うん。Tくん、ガンバレ!