カリフォルニアをめぐる冒険 その6

つるのような木・・・



 ―そう、ひとつだけ確実に僕に言えることがある。人は年をとれば、それだけどんどん孤独になっていく。みんなそうだ。でもあるいはそれは間違ったことではないのかもしれない。というのは、ある意味では僕らの人生というのは孤独に慣れるためのひとつの連続した課程に過ぎないからだ。だとしたら、何も不満を言う筋合いはないじゃないか。だいたい不満を言うにしても、誰に向かって言えばいいんだ?

村上春樹 『辺境・近境』 新潮文庫 平成12年 pp.286

まったくもってこの本

辺境・近境 (新潮文庫)

辺境・近境 (新潮文庫)

は旅行にもっていくには素晴らしい本でした。読み終わった本はかたっぱしから置いてこようと思っているんだけど、この本はなんとなくてばなす気になれません。日本語が読みたくなったときは村上春樹を読むのがいちばんです。やはりその緻密な日本語の構成にやられて、「あー日本語っていいよね」と思えるからです。


さて、では今日も観察したことを考察し、述べていきたいと思います。


1.カリフォルニアでは水は貴重なので、ほとんど風呂には入らない。
 みんなシャワーです。特別なとき(落ち込んだとき、セクシャルにムードを盛り上げるときなど)バスタブにお湯をためてキャンドルなどをともす姿が映画等で見受けられます。しかし、たいていは朝シャワーを浴びます。あるいは昼。こちらではお風呂というかシャワーは、「他者のための社会的行為」であるようです。


シャワーを浴びた人は「ナイス&クリーン」として賞賛されます。朝からシャワーを浴びないまま人に会うと「きちゃなーい・くさーい」みたいなことを自他共に言い合うことになります。


日本ではもっぱら風呂は「自分のための治癒的行為」ですよね。気持ちいいし、寝る前に入ったほうがお布団もさらっとしてきれいで気持ちがいい。朝は別に・・・女子高生なら朝シャンするけどー、夏なら朝もシャワーだろうけどー、なんとなく伝統的に夜風呂に入って、寝るって感じですよね。


ですから、カリフォルニアでホームステイなどをする人は、「風呂に入ってはいけない」ので気をつけましょう。水は高いし、よく干ばつがあるんです。朝ちびっとシャワーに入るようにね。ま、私はホテル住まいなので遠慮なく毎晩お湯をはって入浴剤を入れて「フンフンフーン♪イヌのフーン♪(BYのだめ)」とやっています。でもシャワーとそんなに使う水の量が違うとは思わないけどね。


2.ホテルのお部屋の掃除係はけっこうてきとう。
 もしかしたらチップを置いてないからかもしれないけど(アメリカ人のインテリ知人が「給料をもらっているんだからいらないわよ!」というのでおいていません。)、2,3日はきれいだったんだけど、人によって違うのか、今日はコップがそのままでゴミ箱もひとつそのままだったよ・・・。昨日はバスルームの床がなんだかそのままだったよ・・・。まあ、ものが盗まれるということは全くないようだからいいんだけども、けっこう適当じゃない?ベッドサイドのランプは切れていたし、電子レンジはつかなかったし。しかもこういうのはよくあることのようで、部屋にあの「ドントディスターブ(起こさないで)」の札と一緒に、「部屋になんかトラブルあったらここにマークしてこれをドアにつけといてね」の札があった・・・。?ヒーターがつかない、?テレビがつかない、?お湯が出ない・・・・ goes on and on...そんなに壊れるんかいな・・・。まあとにかくこのホテルは、一流ホテルではないにしても、モーテルってわけではないB級上のランクとしてはかなりいいほうだと思います。プールもジャグジーもいい温度だし。ジャグジーはかなり日本的な熱さだし!


3.ハトの鳴き声。
 実は毎朝9時ごろに、どうも隣の部屋から規則的に繰り返される「うーうーうー・・・」みたいな声がずっと気になっていて、もしかしてエッチな感じの声なのかしら・・・やだー、でもやけに低い声だけど、こっちの人はそうなのかしらー、もしや!男性同士とかかしらー、きゃー、と思っていたのです。でも、毎日毎日7時から9時ぐらいと決まっていて、3日を越えてくると「そんなに規則的に朝だけするかなー。律儀だなー」と疑問を感じ始めていました。
 それで、やっと今日、ホテルに夜帰ってきたときに、屋上の方から「うーうーうー・・・」という声がすることに気づいたのです!!!しまった、やられたぜ!!ハトだったぜ!!よーく耳をすませると「ぽろっぽーぽろぽー」みたいに聞こえる。このヒトたちは朝になるとみんなで鳴き始めて、それからお出かけになっていたのね!!
 みなさんも、一番上の階に泊まるときは気をつけましょう。


4.たくさんの鳥と花。
 カリフォルニアはとくに、そしてたぶんこのサンタバーバラはとくにたくさん花が咲いています。いたるところにわさわさと。それでいいにおいがしています。オレンジやイチジクやびわなんかもたくさんお庭に植えられていて、そのせいかたくさんの鳥がいて、とてもキレイな鳴き声をいちにちじゅうたくさん聞かせてくれます。こんなに風が冷たくなかったら、いちにちじゅう外に座って聞いていたいと思います。日本では、山の中を歩けばいろいろいるけど、住宅の近くにこんなにいろいろいないよね。せいぜいすずめとツバメとカラスだよね。
 ホテルよりも、よく手入れされた庭のあるおうちのほうがこういうのを楽しめます。そのため、こちらではハウス・エクスチェンジというのがよく行われるようです。知人の知人なんかと家を交換してしばらくバカンスをすごすのね。とてもリーズナブルだし、素敵だよね。映画にもあったよね。キャメロン・ディアスケイト・ウィンスレットのやつ。
 日本だと、普通の住宅はあんまり他人にとってリラックスしやすいように手入れされていないし、普通の人は景色のいいところや海辺なんかにあまりかわいい家をもっていないし、そもそも自宅を他人に明け渡すことにすごーく抵抗があるよね。だからかなり難しいだろうなと思います。だからその分ホテルの質がどこてもかなりいいのかな(少なくとも安いビジネスホテルであっても何も壊れてないない。必ずエアコンがばっちりきいていて、必ずお湯が出る)。温泉もたくさんあるしね。


5.こちらの人は重いプレゼントをあげることにあまり抵抗がないようだ。
 日本に帰るって言っているのに、なんだかいろいろと重いプレゼントをくれるのは・・・なぜ・・・?もしかしたら軽いプレゼントがないからかな?日本はけっこう紙製品とかいろいろ素敵な軽いものがあるけど、こちらは少ないかも?・・・しかし〜プレゼントを渡して軽くなって帰るつもりが・・・どんどん重くなっている。「宿命的に」荷物が増え続けている・・・。Oh, well, それが生きるってことなのさ。


 ところで、この本を置いて帰れたら軽いだろうと思って重い腰をあげて読み始めました。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

むむむ、なかなかおもしろい。家族やその周りの人々のありようがとても興味深い。なんだかいろんな人間の縮図がつめこまれているようで、いろんな身近な人を思い描きながら読んでしまいます。学会まであとしばらくあるから、この本だけ読んでリラックスしようかしら。


追伸:このトップの写真だけど、これは「つるみたいに」カットしてあるんじゃなくて、こういう木なのです。したのみどりの葉っぱのまんなかからにゅろーんとこういうのが出ています。けっこういろんなところでみかけます。庭にはえていたりするのよー。・・・へんだよね?