境界性人格障害が治癒するまでの自己との闘いを描いた手記


ここは私の居場所じゃない―境界性人格障害からの回復

ここは私の居場所じゃない―境界性人格障害からの回復

素晴らしい本です。
作者の豊かな文才とチカラと、自らがたどった道のりを記そうという意思によって生まれた傑作です。作者は境界性人格障害の診断を受け、精神分析的精神療法を受けます。
その治療者が素晴らしく、「この患者は自分の力で、きっとこの状態を克服することができる」と常に信じています。BPDの治療で大切だといわれるのは、この「本人の治癒力・統制力を信じて支え続けること」です。そうやって信じ続け、支持し続けてくれる治療者が傍らにいることによって、この作者は自らの力を取り戻していくのです。その道のりはもちろん果てしなく苦しいものです。長い闘いです。読みながら、こちらがくじけそうになるくらいです。けれど、この作者はくじけませんでした。


その過程が小説以上に素晴らしい文章によって記録されています。
読むべき本です。