本当に愛するということ?


本当に愛するというのは、すごく難しいことである。


本当に愛するためには、自己愛を乗り越えなくてはならない。


相手に愛されているのかという不安を乗り越え、
相手に裏切られるのではないかという猜疑心を捨て、
どれだけ自分を好きでいてくれるのかと量り続けるのをやめて、


自分が傷つくことから自分を守ろうとすることを、最優先にすることをやめなくてはならない。


それは、とても恐ろしいこと。


本当に愛するためには、誰かを使って自尊心を満たそうとすることをもうやめなくてはならない。


相手を誰かと比べることをやめて、
相手の欠点を見つけては減点することをやめて、
自分の魅力を確認したくて、次々と誰かの間で試すことを終え、
自分の価値を「つきあう」という行為やラベルによって量ることを終い、
相手の愛情表現によって自尊心を満たそうとする愚かさを捨て、


自分の価値は決してゆらがぬものとして、今もっているすべてで満足しながら、その自分をたっぷりとつかって、目の前の相手を満たそうとすることを、はじめなくてはならない。


全身全霊で誰かを大切にしようとすることをはじめるのは、本当に難しいことなんだ。


自己愛が傷つく恐怖と、自尊心が自分以外のものによって満たされる期待を、いさぎよく手放すことは、弱くて小さな子どもには、とっても難しいことなんだ。


それでも、本当に愛することによって、ほんとうは、何も傷ついたりしないし、何も失ったりしないんだ。


心があったかくなって、幸せで満たされるのは、ほんとうに誰かを愛したときだし、誰でもその能力を持っていて、いつでも使えるものだから。たぶん、勇気があれば。